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電気用品安全法

PSE法問題はそれからどうなったのか

 私が『ゲームミュージックなブログ』で、ブログ執筆を始めてからわりとすぐ、インターネット上で騒ぎになった出来事があります。それがPSE法問題。
 これは、PSE法、正確には電気用品安全法により、一部の中古電子機器が中古ショップなどから消えるという話が広まったことから起きた騒動です。そしてその中にはセガサターンなどひとむかし前のゲームハードも含まれていたために、ネット上のゲームユーザーの間でも話題になりました。ただ、この問題が騒ぎになった過程はちょっと複雑なので、まず軽く説明しようと思います。

電気用品安全法とは

 この電気用品安全法、何も中古の規制を目的として設けられた法律ではありませんでした。これは旧来の電気用品取締法を改正した形で2001年4月1日に施行されたものであり、主な目的としては名の通り電気用品の安全を確保するための手順をふまえた法律でした。それまでの安全確認は複雑で、非関税障壁と輸入業者や諸外国メーカーなどから捉えられ、批判されていたことから、検査においての自主性を促すために手続きを大幅に緩和するための改正であったとされています。
 そしてその中には、販売事業者にPSEマークがつけられているかを確認する義務が追加され、さらにはそれに違反した場合の罰則も強化されました(最大で1年以下の懲役または100万円以下の罰金法人にあっては、1億円以下の罰金が科せられる場合あり)。しかし、これが問題のひとつとなります。

 ■参考:電気用品安全法 – Wikipedia

猶予期間と中古品についての解釈

 さらに、制定された2001年4月1日から、一定時間の猶予期間が設けられます。しかし逆に、この最中の動きが混乱のもととなってしまうのです。
 猶予期間は2006年4月1日まで。しかし、その間は別に従来通りの販売をしてよかったため、メーカーなど製造業者はともかく、小売り、とりわけ中古品を扱うショップはそのまま扱い続けました。それに、従来の経済産業省の方針では、「中古は関係ない」という見解だったようで、販売業者も自分たちにはさほど関係ないとそのまま扱い続けたようです。
 しかし、この猶予期間が近づくにつれて、問題が浮上してきます。まず、猶予期間の終了間際になって、この規制が「新製品だけでなく中古品にも適用される」との見解が急に示されてしまったこと。これだと小売りにも前述のような確認義務、そして罰則が適用されることになり、多大な手間がかかることになります。それ以上に、現在抱えている在庫がすべて金をかけて点検しないと、販売できなくなる(もしくは未点検の罰則適用となる)ために、小規模なリサイクルショップは閉店するしかないのでは、という流れになってしまいます。
 こうしたことの経済産業省の言い分は「もともと中古品を規制の対象とする意図はなかったが、一部の悪徳業者によって技術基準を満たさない製品を中古品と称して売り抜けるという脱法行為が見られたため、やむなく中古品も規制の対象とした」としているとのこと。ただ、中古品については法律でも書かれておらず想定外だったため、内部でも方針が曖昧だったということです。

 ■参考:PSE問題 – Wikipedia

中古品がPSE法対象となることの問題点

 問題点は、前述の者も含めて以下の通り。

 ・リサイクルショップが買い取りに対して多大な点検の手間を要するようになる
 ・中古屋の在庫が扱えなくなり、店を閉鎖せざるを得ない。
 ・価値のある中古機器(音楽機器、ゲーム機)の流通が止まってしまう。
 ・明らかにリサイクルの動きに逆行する。
 ・ヤフオクなど、個人売買での規制が行われるのかわからない(どのくらいで業者とみなされるのか曖昧)。

PSE法反対運動

 この問題は2006年に入り、猶予期間の終了が近づいてきたあたりから顕在化し、最初に語ったように「中古のゲーム機が、音楽機器がもう買えなくなる」というので騒ぎとなります。
 設立間もない私のブログでも、この問題をとりあげました。

 ■セガサターンやドリキャスが4月1日から販売されなくなる?

 その後、経済産業省部長のブログが炎上、閉鎖したりしています。
 そして高級音楽機器などが取引不可の懸念があるとして松武秀樹が発起人となり、坂本龍一ら日本の著名音楽家・約120名の呼びかけで規制緩和を求めるインターネット署名を経済産業省に提出するといった、ネット外の動きも起きてきました。
 また、国会や地方議会でも、この問題について質問があったり、採り上げられたりしたようです。

方針転換

 それらの動きを受けてか、2006年3月14日、経済産業省は以下の方針を発表(Wikipediaより)。

 ビンテージものの電子楽器や音響機器、写真関係機器については、以下の要件を満たす場合は簡単な手続きで売買ができるようにする。
1. 電気楽器、電子楽器、音響機器、写真焼付器、写真引伸機、写真引伸用ランプハウス又は映写機のいずれかであること。
2. 既に生産が終了しており、他の電気用品により代替することができないものであって、かつ、希少価値が高いと認められるものであること。
3. 旧法(電気用品取締法)に基づく表示等があるものであること。
4. 当該電気用品の取扱いに慣れた者に対して国内で販売するものであること。

 しかし、この騒動時に検査機器を購入してしまった業者は存在しますし、4/1をもって閉店を決めてしまったリサイクルショップもあったようです。ちなみに私もこの時期、サターンやドリキャスがもう壊れても手に入れられないかもと思い、あちこちのショップを回ったのですが、上のことからか在庫処分モードに入っていた店も数多くあり、サターンは3000円、そしてドリキャスは1000円と2000円で確保できました。その後ドリキャスは1台壊れたので、今2台目を使っています。
 さらにWikipediaではこんなことも。

しかし、その判定が明確でないほか、実際の取締りを行う警察関連や、この法令により各企業の保有する対象機器の財産評価が低下し、それが金融機関の貸し剥がしまで招いて企業倒産が続出し、税収の減少という影響まで受けかねない立場の国税庁や税務署などの関連省庁にさえ十分な告知を行っていなかったという姿勢に、各方面から批判が続出している。

謝罪会見

 その後、経済産業省はミスを認め謝罪会見を開きました。

 ■PSE問題で経産省がミス認め謝罪 「立法時、中古品想定せず」 – ITmedia News

 これを読むと、どうもこの法律の影響に対しての認識が非常に甘かったという点が強いようです。その後9月11日、経済産業省は混乱を招いたことを理由に、法律策定に関わった当時の管理職5人を厳重注意処分を下したとのことです。
 その後2007年11月21日の法改正によって、翌12月21日の施行より再度電取法表示製品が商取引可能となったとのこと。
 そして現在、中古点の扱いにおいては、法施行前とほとんど変わらずといった感じみたいです。しかし、この件で機材、閉店などの面で損をした業者などについての補償についても、今のところ情報はありません。

問題点は何だったのか

 この騒動の原因は何だったのかと言えば、先に経済産業省が言っているように、想定が甘かったことだと思います。あと、制定時から猶予期間終了後までの告知が不完全だったこともあるでしょう。そしてある時に気づき、いきなり大騒ぎということになったのかと。なんだか後期高齢者医療制度問題と似た構図のような気もします。
 ただ、制定時から状況が変わるなんてことは、高確率であり得ることです。ですのでそれをふまえ、状況を見て、間違った方向に進みそうだったらまだ傷が浅いうちに過ちを認めて修正するというのが一番なのではないでしょうか。おそらく法律制定では、そういった早期に改善して、事なきを得た例も多数あると思います。

 せめて、この件の反省を生かして、二度と似たような混乱がないことを願います。法律というのはちょとした文字の羅列の違いで誰かの人生を変えてしまう可能性があるものなのですから。

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