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2008-08

ソニーBMGのrootkit問題はその後どうなったか

CCCDの台頭

 数年前、レコード会社がCDのコピーを防止するためのコピーコントロールCD(以下CCCD)を相次いで採用しました。しかしこれは、コピーが出来なくなるだけではなく、本来自己の使用範囲内で認められているエンコードも困難で、MP3プレイヤーなどで聴けない(とはいえ、やろうと思えばわりと出来たみたいですが)、パソコンのプレイヤーどころか既存のプレイヤーでも再生できない場合がある(最悪機器を壊す可能性がある)、それに音質を犠牲にしているということで、ユーザーのみならずアーティストからも強い反対が出ました。

 ■コピーコントロールCD – Wikipedia

 よって、業界一律採用とはならず、会社によっては採用を見送るところもそれなりにありました。

XCPの登場

 さて、その中で生まれたCCCDのひとつに、XCP(正式名はExtended Copy Protection)というものがあります。これはコピーガードの一種であり、それがそのままソニーBMG・ミュージックエンタテインメントから発売された一部のCDで使われました。しかしこのCDを使用したパソコンにおいて、どうも意味不明のクラッシュが起こる、という話題が夏頃から出始めたようです。
 しかし、2005年10月31日、Sysinternals社マーク・ルシノビッチ氏によって、このXCPが入ったCDをパソコンで使った場合、ソフトが勝手にインストールされ、それがセキュリティ的に大きな問題を生じかねない点があるという発表がなされました。そこから話題が広まり始め、ネットユーザーのこれについての調査が始まります。そして勝手にインストールされたソフトが起こす挙動としてわかったものはWikipediaから引用すると以下の通り。

・先頭に$sys$という名前がつくファイル及びプロセスを、完全に不可視にする。
・ Windowsのシステムファイルを上書きし、CDドライブの使用状況を監視する。
・ 音楽CDの転送時にランダムにノイズを挿入し、正常なクリッピングを不可能にする。
・CDドライブに入れた音楽CDの情報等を、Sony BMG Music社のサーバー群(connected.sonymusic.com等)へ送信する。
・アンインストールする事ができない。

 わかりやすく言うと、わからないうちにインストールされたソフトが、PCを監視してその情報をSony BMG社のサーバーに送信する。その上アンインストールすることができないというものだったのです。これは事実上、スパイウェアをみなされてもおかしくないものであり、ネット上は大騒ぎとなりました。さらにこの後、このXCPのバグを利用して、任意のコードを実行することができるという、セキュリティーホールまで発見されて問題となりました。
 その上もうひとつ、XPCのほかに、MediaMaxというものも見つかりました。これらのrootkitをまとめて、日本のネットでは「ソニーウィルス」とまで言われました。
 ちなみにこのXCPが使われたCCCDは、日本では流通しませんでしたので影響はありませんでしたが、当時、日本からソニーBMGへのアクセストラフィックがかなりあったという噂も流れ、これらCCCD以外で日本に流通しているものでも何かrootkitが仕組まれている?という噂が流れました(現在でも真偽は不明)。

 ■参考:Extended Copy Protection – Wikipedia
 ■参考:ソニーウィルス – Wikipedia

訴訟発生とソース流用問題

 前述のXCPに問題があると発表されたのが2005年10月31日ですが、ここから物事がものすごい勢いで進みます。まず、翌11月1日、米国カルフォルニア州で消費者団体が、問題のCDの販売差し止めと損害賠償を求める訴えを起こします。
 それを受けて11月2日 、ソニーBMGがこれをうけてツールをリリースしますが、これがアンインストールツールではなく、実際はプロセス等の隠蔽を停止するツールだったことが明らかになるとユーザーの怒りが再燃焼します。
 さらに11月10日、ソニーBMGのCDにLAMEのソースを流用した形跡があることが報じられます。これが本当なら、商用流用を禁じているLGPLに違反することになるので、後LAME側が公開質問状を送付する展開にまでなります。
 この問題の広まりを受けて、各種セキュリティソフトベンダーがこれをトロイの木馬であり、かつルートキットであると定義します。そして2005年11月12日、マイクロソフトも、これをウイルスと認めます。
 さらに11月21日、テキサス州が、ソニーBMGの一部CDに「スパイウェア」が入っていて州法に違反しているとしてソニーBMGを提訴します。認められれば、最大で違反一件当たり罰金10万ドルとなります。その上、市民団体「電子フロンティア財団(EFF)」がXCPだけでなくMediaMaxを使用したCDもあわせた2400万枚についての損害賠償を請求しました。

 ■参考:ソニーBMG製CD XCP問題 – Wikipedia

訴訟の結果

 明けて2006年5月22日、米連邦裁判所判事が和解案を最終承認、そして年末の12月20日、米カルフォルニア州の損害賠償訴訟で75万ドルを消費者団体などに支払うことで和解、また米マサチューセッツ州など40州と425万ドルを支払うことで和解し、一応の決着を見ます。
 ただ、この頃になるとCCCD自体が様々な動きによって、事実上廃止に向かっていました。おそらく、この事件がとどめを刺した感じになったとも言えます。

そして現在……

 今では事実上、CCCDは国内では全滅しているといって良いでしょう(希に中古CDショップでワゴンに入っているのは見かけますが)。
 だけど結局、CCCDって何だったんだろうって思いますね。たしかに違法に利用されるのは好ましくないのは気持ちとしてわかります(自分が使うためではなく、あたりまえのようにコピーして販売、譲渡しているケースはどうかと思いますし、排除すべきでしょう)。だけど、それだからといってユーザーを全員泥棒扱いして、不利益を押しつけたところに問題があるのでしょうね。だけど、音楽ではない他の場所で、また歴史が繰り返そうとしている気がするのは私の気のせいでしょうか……例えばコピワンとか、B-CASとか……

富山連続婦女暴行冤罪事件はその後どうなったのか

 去年、ニュースを騒がせた冤罪事件がありました。それは「富山連続婦女暴行冤罪事件」。

 ざっと説明すると、裁判で懲役3年に処され刑に服した男性が出所後、真犯人が見つかったという冤罪事件です。去年のニュースでかなり報じられていたので記憶している方も多いでしょう。その時の処々の問題、そしてどうなったかを調べていたら、Wikipediaともう一つのサイトにとりあげてありました。

 ■富山連続婦女暴行冤罪事件 – Wikipedia

 ■富山県警冤罪事件、その後

 ■参考:痛いニュース(ノ∀`):【富山レイプ冤罪事件】『警察にも非があるが、あんたにも非がある』富山県警、誤認逮捕・二年間服役の男性に

 父親のこととかも含め、読んでいてかなりやるせない気持ちになります。

 そして2007年10月10日に、無罪判決が言い渡されました。

 ■【富山冤罪事件】 判決要旨 (1/2ページ) – MSN産経ニュース

 しかし、冤罪を受けた方が国家賠償請求をするという話以外は、再発防止策など具体的なニュースはあまり伝わってきません。ニュースがないことが怖いってこともあるのですね……

 つか、この冤罪事件って裁判員制度を前にして、「このような冤罪があり得る」という可能性を植え付けてしまった以上、それを取り除く努力をしないと、とんでもないことになると思うのですが。それが冤罪の人はもちろん、本当はやっている人を無罪にしてしまう手法としても。おそらく裁判員制度がスタートしたら、弁護士側はこの事件などの冤罪を頻繁に引き合いに出して、「裁判員は無実の人を有罪にするかもしれない」という無言の圧迫をかける作戦をわりと使ってくると予想しています(それの真偽がどうであれ)。そうすると、今度救われないのは被害者なわけで。富山の事件も冤罪を受けた人もかわいそうだけど、被害者もかわいそうなんだよなあ……当然憎むべきは真犯人なわけなのに、そのへんがこれから今以上に複雑なことになりそうで怖いです。
 とはいえ、裁判員制度が上手く機能すれば、こういう冤罪を防止することも出来るはずなので、運用がうまくいくことを期待したいと思います。

銚子電鉄はあれからどうなったのか

 2006年11月、とある鉄道会社のHPに、ある文章が載せられました。『弊社は現在非常に厳しい経営状態にあり、鉄道の安全確保対策に、日々困窮している状況です。 年末を迎え、毎年度下期に行う鉄道車両の検査(法定検査)が、資金の不足により発注できない状況に陥っております。このままでは、元旦の輸送に支障をきたすばかりか、年明け早々に車両が 不足し、現行ダイヤでの運行ができないことも予測されます。』という、文章を掲載したのは、千葉のローカル私鉄、銚子電鉄。
 このあまりに切実さが伝わってくる文章がネットで広がり、「銚子電鉄を助けよう」という動きが広まったのを覚えている方もいらっしゃると思います。

そもそも何故、銚子電鉄はピンチに陥ったのか

 銚子電鉄が経営不振に陥ったのは、何もローカル線特有の赤字問題だけではありません。実はこれは、経営危機に陥る前に社長となった人が、総額約1億1000万円の業務上横領を行っていたためでした。

銚子電気鉄道 – Wikipedia

業務上横領容疑の元となった借金は銚子電鉄名義で無断で行われた物であり、「自分が社長をつとめる建設会社の経営状態が悪化しており、鉄道会社の信用を使えば銀行からの融資が引き出せるだろう」との目論見で行ったものとされている。銚子電鉄名義の借金は、個人の借金返済に充てるなど、全額を着服している。また内山は銚子電鉄社長時に内野屋工務店に大量の仕事を発注させて駅舎の改修工事をさせるなども行ったとされている。このことが県と銚子市の補助金を停止させ、さらに金融機関の融資凍結を招き鉄道経営に大きく響いた。

しかし、2006年11月の鉄道車両の法定検査は迫っていました。

必死な訴えに応えてのぬれ煎の爆発的売れ行き

これからあとはご存じの方も多いでしょう。ネットで話題となり、同社が資金獲得のために販売していたぬれ煎餅の購入希望者が殺到します。ここまで好感を持たれたのは、あの必死な訴えなのに、募金を求めるなどではなく、あくまで自分の事業であるぬれ煎で資金を獲得しようとした姿勢があるかもしれません。そしてたちまち売り切れ状態に。

 ■ITmedia News:ネットで「銚子電鉄を救え」 名物「ぬれ煎餅」に注文殺到

 このときの社員さんの申し訳なさそうな対応も、好感度を高める結果となり、実際に観光してみようという人も増えたそうです。下は当時のまとめページ。

 ■「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。」銚子電鉄緊急応援Wiki – 「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。」銚子電鉄緊急応援Wiki

銚子電鉄サポーターズ

 しかし法廷検査をクリアしても、今度は国土交通省関東運輸局から老朽化のための改善命令を受けます。そこで2007年1月、有志が「銚子電鉄サポーターズ」を設置、募金などを開始しました。

 ■銚子電鉄サポーターズ

 同会には当時千葉ロッテマリーンズ所属の小林雅英投手も特別サポーターとしていたということ。
 そして改善命令の問題もなんとかクリアします。

そして現在……

 2008年5月26日、銚子電鉄サポーターズは支援の成果を上げたとして、休止を発表します。Wikipediaによると

2008年3月31日までに4698名から入会金として約1658万円、運営費のカンパなども合計すると約1882万円が集まり、同会はこれらの収入から安全対策基金として 1510万円(うち970万円は2007年に寄贈、540万円を2008年5月26日に寄贈)、老朽化した踏切看板の交換費用として約100万円を支出したとしている

と、かなりの金額が集まった模様。
 また、ぬれ煎餅も好調で、黒字転換したようです。

 ■9800万円超す黒字 銚子電鉄07年度決算 鉄道、副業とも収入大幅増|ちばとぴ ちばの耳より情報満載 千葉日報ウェブ

 ネットでは「本業煎餅屋、副業鉄道」等と言われることがありますが、それでも持ち直したならよかったです。願わくば、ブーム収束でこの勢いが止まらないでほしいです。

 さて、一時期人手不足で休止していたぬれ煎餅の通販も再開しているようですので、贈呈品がいる時などは買ってみてもよいのではないでしょうか。上の話題コミでいいおみやげになるかもしれませんよ(ただ、煎餅の類はすぐ売り切れるので、下ろしているところを調べて買った方が早いかもしれません)。

 ■銚子電鉄オンラインショップ

EVD(中国の独自規格ディスク)はそれからどうなったのか

 現在、オリンピック商戦期間も終わりに近づき、テレビ、そして録画プレイヤーの売れ行きがどうだったのか気になるところです。ただ、Blu-rayとHD DVDで争っていた昨年よりは、幾分買い控えはなくなったかもしれません。
 しかし、上記2つ以外にも、次世代DVDとされているものがあったのをご存じでしょうか。その名は「EVD」。

「EVD」とは何か

 「EVD」とは、中国で独自に開発されたディスクの規格です。つまり、立場的には、Blu-rayやHD DVDと同じ位置づけ……と言えるのかなあ、いや、言えないな(理由は後述)。

 ■スラッシュドット・ジャパン | 北京発、DVD代替規格EVD登場

 さて、何で中国はこのような規格を誕生させたのか。まず、DVDなど海外に規格の特許がある場合、その特許使用料金を渡す必要がありますが、安さで勝負している中国製品にとって、その割合は楽なものではありません。故に、特許料が定額ですすむ、独自規格を自国で制定する必要があったのです。

 ただ、スペックは片面1層4.7GB、片面2層8.5GBと、次世代と言うより代替DVDといった感じもの。ただ、MPEG-2を使用していないために、ライセンス料はDVDよりもかなり安かったようですが。

 ■EVD – Wikipedia

 この無謀にも思える勝負に勝算があったのか。これはまるでなかったとは言えませんでした(あくまで中国からの視点ですが)。まず、規格が制定された当初、中国は上海株が6000に向けての上り階段という超好景気でした。その状況で、世界最大の人口を持つ中国国民がその独自規格を買えば、かなりのシェアになるはずという読みでした。そうすれば、ハリウッドなどもこれに参入するだろうという読みもあったでしょう。さらに、この発表がなされた当時、世界ではBlu-rayディスクとHD-DVDの次世代規格争いが加熱していたこともあります(さらにそれも内部で固まらずに混乱気味だった)。つまりここで漁夫の利を狙ってきたということですね。もちろんここでという意味ではなく、先のEVD2的なものを想定してだと思います。

EVDそれから

 しかし、早くも大きな山が訪れます。スラドの2004年のコメントにはこのようにあります。

2003年11月に「EVD連盟」を結成した9大メーカー(SVA・新科電子・創維・長虹・夏新・万利達・歩歩高・先科・厦華)のうち、7社は次々と他陣営への鞍替えや投入資金の削減などに向かっており、残っているのは新科電子と上海広電数碼科技(SVA)の2社だけだそうだ。

 それでもなんと強気に、2006年末、「中国はDVD単体機の生産を2008年までに中止する」と発表までしてしまいました。

 ■次世代DVD戦争に殴り込み・中国独自規格に勝ち目はあるか インターネット-中国IT最前線(肖 宇生):IT-PLUS
 ちなみに途中から、EVD2という規格が流通しましたが、これはHVDという規格をそう勝手に名付けて売っていただけのようです。まあこっちも普及の割合は知名度と同じく。

 ■HVD – Wikipedia

HD DVD生産停止とその影響

 しかし、2008年2月19日、東芝がHD DVDの撤退を発表します。これにより、流れは完全にBlu-rayになりました。。3月、EVDは名称を「HD-EVD」と変えます。しかしこの当時には、もうすでに店にもほとんど置かれることはなくなっていたようです。

 ■中国EVD:HD―EVDと改名、ブルーレイと競争開始|I T|ChinaPress

 ■EVDも危機に直面、業界団体は撤退の可能性示す 2008/03/04(火) 10:45:04 [中国情報局]

 現在は事実上、EVDという規格の普及は止まっていると考えて良いでしょう。しかしながら、中国の独自規格という面では、ここからまた一波乱が起こります。

中国独自次世代DVD規格「CBHD」

 最近、また中国国内で新たにDVDの新規格が発表されました。その名は「CBHD」。

 ■中国版高精細光ディスク「CBHD」が始動 – ビジネススタイル – nikkei BPnet

 ■スラッシュドット・ジャパン | 中国独自の高密度光ディスク「CBHD」、いよいよ製品登場

 さて、中国版HD-DVDと言われるこの製品、開発経緯もEVDの時と同じく巨額の特許使用料を払わないですむようにする意図が強いようです、DVD時代を大きく下回る特許料は魅力なのでしょう。
 ちなみにこれ、上記スラッシュドットのコメントを見てみると、CBHD自体がHD DVDの中国版らしいのですよね。つまり、中国以外では敗北したHD DVDを中国が引き取ったというところでしょうか。
 それにどうもHD DVDの技術及び技術者がそのまま流れている、という話があるのですよね。

 ■ポケットニュース: 中国独自次世代DVD規格「CBHD」用プレーヤーの正体

山田とリーバファーブが中国企業と手を組んで、東芝からHD DVD関連の部材や金型など一式を安く買いたたき、それを使って作っているようです。
部材だけならいいんですけど東芝で光ディスク関連の仕事をしていた技術者まで大量に中国側に渡っているようで、余った部品だけでなく光ディスク関連の技術までかなり流出している模様。

 う~む……なんか複雑な思いです。ともあれ、HD DVDの技術はこんなところで生きているということになります。せめて今までHD DVDとして出ていたソフトが、これで再生できるようになればいいのですけどね。

また規格争いが始まるのか?

 さて、世界中ではBlu-rayがほぼ独占への道を歩み出しましたが、これは新たなBlu-rayのライバルになるのでしょうか、それともEVDのように、なかったこと同然となってしまうのでしょうか。ただ克服しなくてはいけない道があると思います。それはコンテンツの参入だったり、EVD事実上失敗の幻影を払えるかとかいろいろ。まあ、ちょっとは注目してゆきたいと思います。そして一般に知られるようになるか、それともこのブログのネタになるか……

 あ、でもコピワン問題とかで混乱しているところに、コピーフリーで乱入してくるって可能性は、案外ありえなくはないかもしれませんね。そういう意味ではいい対抗馬なのかも?

サテラビューはあれからどうなったのか

 前回、『セント・ギガはそれからどうなったのか』のところで「さて、セント・ギガといえばもうひとつ、ある意味有名だけど普及しなかったサービスの話がついてくるのですが、それはまた後日。」と書きました。今日はその話。とはいっても一定の方にはご察しかついていたかもしれませんが。

 セント・ギガは衛星放送のデジタル音声チャンネルを2つ(主音声・副音声)持っていましたが、同時にデータを配信する「データ部」も持っていました。そこに利用されたものは何か。それは、スーパーファミコンの接続機器としてある意味有名な『サテラビュー』のデータ配信です。

サテラビュー – Wikipedia

 ほとんど上でまとめてあるので改めて書く必要もないですが、終了した原因は、次世代機(PS、SS)への移行によりスーファミが古くなったこと、そして販売形態が煩わしかったことがあります。ただ、あきらめてはいなかったようで、任天堂もてこ入れか、それともサテラビュー2を作るためか、野村総合研究所、マイクロソフト株式会社と共同で、セント・ギガのデータ放送とインターネットを融合させたWindows機向けの情報サービスを提供する計画を発表したり、京セラとの提携、BSデジタル放送およびテレビ放送への進出によるさらなる事業拡大で乗り切る計画などを提案したりしていたようです。ただ、セント・ギガの前経営陣を中心とした株主らが反対し、結果として任天堂が撤退してしまったことで閉ざされます。その後、新規スポンサーの獲得ができず、データ放送は終了、そしてセント・ギガは事実上倒産してしまったことは皮肉です。

 そして任天堂は、64DDの失敗後、現在のDSやWiiにおけるWi-fiでやっと通信の筋道が見えてきたあたり、長い道のりだったと思えます。ただ、もし、このデータ放送が生き残っていたら、Wiiにもそれを受信するための機器につなげるコネクタなんてものがついていた可能性があるかもしれませんね。

セント・ギガはそれからどうなったのか

 日本でアナログの衛星放送が開始されたのは1989年、そしてその2年後の1991年、WOWOWが民間で衛星放送を開始しました。そしてその時同時に、同じチャンネルのPCM音声を使用してラジオ放送を行う衛星デジタル音楽放送であるセント・ギガも開局しました。実際には視聴したことはなくても、名前くらいは聞いたことのある人はそれなりにいらっしゃるのではないでしょうか。それこそCSが始まる前は、新聞のテレビ欄にも載ってましたしね。

セント・ギガ~音の潮流

 これは非常に特殊なラジオ放送で、タイム・テーブルならぬタイド・テーブル(潮の干満と月の運行を基準とする)に則った、先鋭的な編成であり、時報なし・ニュースなし・DJなし・トークなしというスタイルは「音の潮流」と言われていました。説明は難しいのですが、有線放送みたいな感じですが、それとは微妙に違う感じを受けるものでした。

衛星デジタル音楽放送(株)経営不振、それから……

 では、現在それはどうなっているのか、ご存じの方は少ないかもしれません。まあ結論から言えば、現在は「セント・ギガ」はなくなっているのですが。それが以下のサイトにまとめてありました。

 ■セント・ギガって今どうなってるの?セント・ギガ・フォーエバーさん)

 詳しくは上のサイトを見ていただくとして、ここでは流れを簡単にまとめてみます。

セント・ギガ(衛星デジタル音楽放送(株))は経営不振から、2003年3月「(株) ワイヤービー」という会社に吸収合併、4月からは「クラブコスモ」というステーションネームで放送を続けていたのですが、この会社は早々にセントギガ事業の売却を決定、同年10月からWINJという会社に引き継がれることになりました。ところが、クラブコスモからWINJに移行直後の03年10月中旬にワイヤービーは倒産してしまいます。これらのドタバタで、クラブコスモ(ワイヤービー)に代金を払ったのにスクランブルが解除されない、あるいは解約したのに返金されない、といったトラブルも発生していたようです。

          ↓

BSデジタルに完全移行のため、2005年3月31日午後10時をもって、アナログ(BS5ch独立音声)放送を終了しました。05年5月10日以降は、BSデジタル(333CH)のみで放送されています。

 この頃には、セント・ギガは「WINJ333」という名前に変わっていました。

放送休止まで

 その後、スクランブルなし、ほとんど再放送という流れが続いた後、ホームページも更新されなくなります。そして2006年10月の追記には以下のようにあります。
 

9月からはEPG(電子番組表)も表示されなくなりました。9月中旬以降は無音状態が数時間続く日もあり、いよいよ総務省が調査に乗り出しました。9/29にはNHKのニュースでも取り上げられ、このままの状態が続くと放送免許の取り消しもあり得るようです。
現場のスタッフは何とか放送を維持しようと、ボランティア状態で頑張っていますが、資金難という本質的な問題が解決しない限り、いつまでこの状態が続くのかは誰にも分からないようです。

 ……泣けてきます。ただ、以下のリンク先を見ると、もうこれより前の時点で放送としては死んでいたのかもしれません。

 ■危機に瀕するBSデジタルラジオ

 だが、問題は、引き継いだWINJの経営陣は、放送局を安く買い取って高く売り抜くためのマネーゲームの手駒としか考えていなかったと思われる点にある。
 新規加入者獲得やスポンサー獲得のための積極的な営業はほとんど行われず、有料課金システムの構築もされずに実質的なノンスクランブル放送=無料放送が行われていた。このような状況でCMもなく聴取料収入もないのだから、事業として成り立つはずのないことは自明のことであったといえよう。

 そして2006年11月1日より来年1月31日まで、放送休止が決定しました。

放送終了

 しかしその1月31日になっても再開せず、幾度かの放送休止延長を経た上、2007年11月14日、電波監理審議会が放送法第54条の24第2項に基づき、委託放送事業者の認定取り消しを決定、放送終了となりました。

 デジタル移行問題で揺れている影で、こうやってひっそりと終了したものもあったのですね。でも、こんな壮絶な展開になっているとは思いませんでした。たしかにセント・ギガは特殊な局だったのかもしれません。でも、テレビ離れが避ければれている昨今、CSや地方局、下手をすればキー局でも、こんなことが起こらないとは限らないでしょう。

 さて、セント・ギガといえばもうひとつ、ある意味有名だけど普及しなかったサービスの話がついてくるのですが、それはまた後日。

 ■参考:セント・ギガ – Wikipedia

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